7

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

7

「ねぇ、オマジナイを教えてあげましょうか?」 彼女はぞっとするような微笑を浮かべながら、言った。 「ずっとアナタ達が一緒にいられるオマジナイを。何を引き換えにしても良いのなら、教えてあげる」 ショックで頭が真っ白になっていたわたしにとって、それは救いの言葉だった。 だから頷いた。 そして彼女は教えてくれた。 オマジナイ―犬神の作り方を。 犬の首を切り、土の中に埋める。 そして思いを込めて、土の上を踏むのだ。 だからわたしは何度もここを訪れた。 オマジナイを成就させる為に。 犬神になれば、犬はずっとわたしから離れないから。 一生離れられないから。 そして、成就した。 わたしの願いは。 犬は犬神となり、わたしの側にいた。 そしてずっと、わたしの願いを聞き入れてくれていたんだ。 それを叶える代わりに、わたしの命は削られていったけど…大した問題じゃない。 どうせわたしも犬も、後は堕ちるだけだ。 犬神、憑き神として名高い呪法の一つだ。 彼女はオマジナイと言っていた。 …随分可愛らしく表現したものだ。 わたしは犬神を連れて、神社に来た。 そこには先客がいた。 彼女ではない。 けれど時を同じくして10年前に、わたしはその人に会っていた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!