ビオットの祭り(体験プログラム)

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ビオットの祭り(体験プログラム)

 次の日の朝、病院の研究室に向かう車中で、まどかは、ダニエルとアレックスが どうして首都のパリの病院ではなく、リゾート地の南フランスの病院で研究をしているのかを聞いてみた。  ほとんどの日本人が、フランスといえばパリを思い浮べるのにもれず、まどかもその内の一人だったので、研究成果を上げるための研究技術や人材の確保、治療の需要などは パリの方が適しているのではないかと思ったのだ。  コート・ダジュールのソフィアアンチポリス市には、フランス政府の誘致で、各国の 研究所が集まっている。そのため何かと技術提供を受けやすく、また資産家が集まる地域のなので、投資目的にしろ、寄付にしろ、資金援助も受けやすいという理由で、研究の 拠点をこちらの病院に置いたらしい。  広々とした丘陵地帯に建つ大きな病院の駐車場に着いた一行は、関係者用のエントランスから中に入った。  本来なら、一般人の研究所への立ち入りや、申請なしの施設使用は受け入れられないが、この研究の第一人者であるダニエルと登吾の二人のドクターと、ダニエルの助手の アレックスが許可を求めたので、南仏ののんびり気質に反して、その場ですぐ書類が用意され、サイン一つで研究施設の使用許可が下りた。  ダニエルのアクセスカードを使い、関係者以外立ち入り禁止の表示がある扉を入ると、そこには小さな部屋があり、体調をチェックするための血圧計、心音チェック機械などが所狭しと並んでいた。      
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