幸せな苦行

2/7
前へ
/7ページ
次へ
 それは毎晩訪れる。決まって深夜だ。  どうしようもない睡魔に襲われても、こなさなければいけない仕事。それは、必ずやらなければならない大事な仕事。  その上、突然やってくるのだ。毎日のルーティンに変わりはないはずなのに、予告なしにやってくるのである。深夜に変わりはないのに、正確な時間はない。  こちらの都合など、御構い無しだ。  眠くても、やってくる。眠くてもやってくるのだから、レム睡眠だろうがノンレム睡眠だろうがやってくるのだ。  終わりなんてない。  果てしない苦行だ。  ずっと、そう思っていた。  いつになったら終わるのかと、いつになれば朝まで眠れるのかと、ずっとずっとそう思っていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加