路地裏ぬくもり屋

想い出の「おしるこ」

　「彼女を忘れないと誓いながら、ふと脳裏に彼女を感じると涙が溢れてくるんです。」
　「だから、私は無我夢中で働きました。」
　「でも、やっぱり無理です…もう一度あなたに会いたい。」

　その言葉がきっかけで、私の目は涙で溢れかえり、大人げなく声を出して泣いてしまった。

　その間店主は黙って、にこやかに私を見守ってくれており、私が落ち着きを取り戻しふと、顔を上げると、涙で歪んだ視界に愛しい人の姿が浮かび上がり、私に優しく微笑んでくれた。

　「ありがとう…君に出会えて、今まで一緒に過ごせたことに私は感謝したい、欲を言えばもっと君と過ごしたかったが、もう少しだけ待っててくれないか？私は私なりに頑張って生きてみるよ。」

　「急がなくていいからね…」

　「え？」