僕はどこまでも歩いた。

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 スマホの歩数計が二万五千歩を超えた。  どこまでも歩き続けるような気がするが、この田舎道でバスは二時間後来ることを考えれば歩いたほうがマシかなと思った。途中で自販機で買った清涼飲料水は異常に冷えている。誰も買っていないのだろう。  道は起伏緩やかにどこまでもまっすぐにのびている。目的地の村まではどれくらいあるのだろうか。  リュックの中身からビスケットをかじり、清涼飲料水を飲みながら歩き続けた。スマホの歩数計がさらに一万歩加算されたころ、正面から乗用車が走ってくるのが見える。時折丘の起伏で姿を消したり現れたりしする。 「あなたヨモツ旅館に予約してる方でしょう。」  やがて4ドアのセダン車が僕の前に止まると、助手席側のウィンドウが開いて呼びかけられた。運転席には三十代くらいの髪をポニーテールに結んだ女性が座っている。僕はそうであることを伝えると。 「わたしは旅館の者です。さぁ乗って。」 僕は助手席に乗り込むと、車は方向転換して直線の道を走り出した。  車内はさわやかな香りに包まれて、景色は緑が流れていく。 
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