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 十メートル先のエレベーターホールを見ると、ドアの脇で待っている二階堂と目が合った。シッシと煙たそうに手を振られ、よけい彩人はムカついた。  ――顔はタイプだけど。性格は嫌いだ。  入社して以来、『ひまわり』で会ったときの彼の品の良い仕草や警戒を解いたような苦笑はお目にかかれない。丁寧な口調で話してくれることもなくなった。  二階堂は女性に対しても容赦なく冷たい態度を取る――にもかかわらずモテまくっているから悔しい。
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