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「そうだよ。たまには付き合ってよ。二階堂さん」  言いながら、辻井が二階堂の肩に馴れ馴れしく手を置いた。よくあることだ。  この会社は、肉食系の女性が多い。 「せっかくですが、今日は用事があるので」  二階堂が冷めた声で断っている。視線は正面のパソコン画面に向いている。 「あ、もしかして彼女とデート?」  彼の向かい側に座っている栗色のロングの女性が、会話に入りだす。 「だったら?」  鬱陶しそうに二階堂が言い放つと、ようやく周りの女性が静かになる。と思ったら、すぐに田中が「じゃあ来週は」と食い下がっている。  ――ほんと、あの人モテるなあ。  感心してしまう。田中も辻井も、栗色のロングも容姿のレベルは高い。綺麗どころに囲まれて羨ましい限りだ。 「二階堂さんには早乙女さんがいるっつーのにようやるわ」 隣から呆れたような声がする。彩人は思わず高松に顔を向けた。 「早乙女さんって?」 「社長の秘書。で、二階堂さんの彼女」  高松がキーボードを打ちながら教えてくれる。 「へえ……そうなんですか」  あのルックスで恋人がいないわけがないと思ってはいたが、相手が社長秘書とは――ずいぶんレベルの高そうな女性と付き合っている。     
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