1295人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
香苗が後ろに並んで、彩人の手に指を絡めてくる。
「ね、このあと暇? 私の部屋来ない?」
ひと目も気にせずに、体を寄せてくる。
彩人はひそかに苦笑した。自分の周りにいるのは肉食系女子ばかりだ。
「いいよ」
据え膳は遠慮なく食うに限る。香苗のルックスは水準以上だ。
レジで精算を済ませたあと、ふたりは手を繋いでアパートに向かった。
彩人は今置かれている自分の状況に概ね満足している。仕事はあるし、休日は大好きな絵を描いていられる。ここの所、画材道具の費用を自腹で払うこともなくなっている。彼女は作らない主義だが、セックスする相手に困ったこともない。自分のルックスがそこそこ良いことを彩人は自覚している。
あとは、フェリテでバイトから正社員になって、貯蓄を増やす。それが達成できれば完璧だ。
最初のコメントを投稿しよう!