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 香苗が後ろに並んで、彩人の手に指を絡めてくる。 「ね、このあと暇? 私の部屋来ない?」  ひと目も気にせずに、体を寄せてくる。  彩人はひそかに苦笑した。自分の周りにいるのは肉食系女子ばかりだ。 「いいよ」  据え膳は遠慮なく食うに限る。香苗のルックスは水準以上だ。  レジで精算を済ませたあと、ふたりは手を繋いでアパートに向かった。  彩人は今置かれている自分の状況に概ね満足している。仕事はあるし、休日は大好きな絵を描いていられる。ここの所、画材道具の費用を自腹で払うこともなくなっている。彼女は作らない主義だが、セックスする相手に困ったこともない。自分のルックスがそこそこ良いことを彩人は自覚している。  あとは、フェリテでバイトから正社員になって、貯蓄を増やす。それが達成できれば完璧だ。
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