蜜月1 R18

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蜜月1 R18

 ベッドの端に座って、目の前にある折り畳みテーブル、その上に載せたスイカとメロンを気まぐれにスケッチしていると、玄関の鍵を開ける音がした。  彩人はベッドのスプリングを利用して立ち上がり、玄関の三和土で靴を脱ぐ男に走り寄る。彼がブリーフケースを上がり框に置く。 「お疲れ様」 「ああ」  二階堂が脱いだジャケットをさっと受け取り、ハンガーに掛け、壁に後付けしたフックに引っかけた。 「今日は暑かったね」  両手が空いた彼にぴょんと抱きつく。二階堂が軽々と彩人を抱き上げ、軽くキスしてくれる。  彩人は薄着だった。上はTシャツ一枚、下はボクサーパンツのみ。七月初旬なのに、今日は風がなくて湿っていて、一日中、扇風機を回していた。 「今日はさっぱり系にした。冷奴ときゅうりの酢の物と鮭を焼いた」 「暑いからな」  二階堂がふっと笑って、洗面所に向かった。まだ彩人を抱っこしたまま。 「その前にエッチしたい。ダメ?」 「ダメ。腹減ったんだよ俺は」  時刻は二十一時半。いつもこれぐらいの時間に二階堂は帰ってくる。  彩人はは二階堂の腕から抜け出て、キッチンに向かう。冷蔵庫から麦茶と料理を取り出し、果物の載った折り畳みテーブルに運ぶ。 「まだ食べてないのか、それ」 「さっきまでこれ、スケッチしてたから」 「お前は何でも描くな」 「あんたが買ってきてくれた物だから」  そう、このテーブルに載った果物は、昨日二階堂が買ってきてくれた物た。 「早く食べないと悪くなるぞ」 「今から冷蔵庫に入れる」  彩人は果物を冷蔵庫に持って行った。  二階堂が一人で食事をとっている間(彩人は十九時に一人で食べた)、彩人は食事中の二階堂を写生する。 「本当に何でも描くな」 「あんただから」  会話は恋人のそれだ。でも、恋人と言っていいのか分からない。  彩人の部屋に二階堂が通うようになって二週間が経とうとしている。  初めてキスをした日、彩人たちは二度目のセックスをした。一度目とはまるで違うセックス。  彩人は彼に奉仕しなかった。させてもらえなかった。  二階堂が彩人の性器を手で愛撫して勃たせ、後ろを解して慣らした。コンドームを二階堂が自分で着け、彩人に挿入した。彼が積極的に彩人を抱いたのだ。  食べ終わって麦茶を飲んでいる二階堂に、彩人は体をよせ、耳元で囁く。 「早くセックスしたい」  恥らうこともなく二階堂を誘う。彼の腕を引っ張って歩き、ベッドに座る。自分でTシャツを脱ぎ、乳首を触って見せた。そこはすでにしこっている。 「仕方ねえな」  二階堂が苦笑を浮かべるが、その眼差しはかなり甘い。  開けてある窓を閉めて、二階堂が彩人をベッドに押し倒し、覆いかぶさってくる。 「仕方ねえなって割に、ガツガツしてるじゃん」 「時間がないんだよ」 「泊っていけば?」 「着替えがないだろ」  無駄口をたたく彩人の唇は、すぐに二階堂のそれによって封じられる。  ――こんな風になるなんて、信じられない。  でも現実だ。  時間がないと言いながらも、二階堂は彩人に丁寧な愛撫を施していく。  首筋に唇を這わせ、左手で鎖骨をなぞり、右手で彩人の性器を扱いてくれる。  彼はすぐに男同士のセックスに慣れてくれた。もともと器用な人だ。なんでも覚えるのが早いのだろう。  唇を合わせ、舌を存分に絡めて唾液を嚥下し合う。二階堂のキスは巧みで、彩人はすぐい彼のものが欲しくなるのだ。 「早く……」  彩人は体を起こし、まだくつろげてもいない彼のスラックスを手荒く脱がせた。ボクサーパンツ越しに、そこを指でなぞる。 「勃ってる」  嬉しくて笑ってしまう。ちゃんとキスで勃起してくれているのだ。 「うるさい」  二階堂は嫌そうな顔をしたが、ボクサーパンツは素早く脱いだ。  ベッドの上に転がっているローションを手に取り、粘りのある液体を彩人の隘路に施す。  彼の指が蕾に触れただけで、彩人は興奮し、胸を喘がせた。  ゆっくりとした動きで、二階堂の長い指が内部に入ってくる。  彩人はできるだけ開脚し、二階堂の首に手を回した。 「早く……」  欲しくて堪らなくなるのはなぜなのだろう。  二階堂が「煽るなって」と苛ついた声を出した。  彼のものが早く欲しくて、中がムズムズした。だが、二階堂は焦らすように、指を一本一本時間をかけて増やしていく。   蕾がこれ以上なく柔らかくなり、内部が二階堂の指によって十分に広げられて、やっと欲しいものを与えられた。  ゴムをつけた充溢が、柔襞を捲り上げて中に侵入してくる。 「あ――あっ……」  入れられただけで達しそうになるのを、唇を噛んで堪える。太い先端が通過して、熱い痺れが内部に起こる。自然と蕾がキュッと締まった。  律動が開始され、彩人は二階堂の良いままに体を揺すられる。感じる部分を捏ねるように何度も先端で押され、彩人はすぐに我慢が利かなくなって吐精した。びゅっと白濁が飛ぶ。達したばかりの敏感な蕾を指でなぞられ、膨張した性器で何度も抜き差しされ、彩人は悲鳴を上げた。 「ひっ……あ、ああっ……」  先ほどより重いストロークでせめられ、彩人は涙ぐみながら二度目の絶頂に達した。と同時に、二階堂が彩人の奥で、吐精した。
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