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 仕事内容は事務のアシスタント。商品調達――発注納品データの入力や納品管理――と、企画営業――サンプルの管理や企画資料作成の手伝いだ。  とりあえず今は、電話や来客の応対と、データ入力が主な仕事だ。徐々に他の事も覚えて欲しい、とのことだが、周りの社員はいつも忙しく働いていて、教育係のような人間は皆無だ。  彩人が属しているのは『サニーデイ』という、自社ブランドの商品企画グループだ。サニーデイは三十代から四十代の女性から絶大の人気を得ている、服とファッション雑貨のブランドで、フェリテが発行しているカタログの中でも上位の売り上げをキープしている。  グループのメンバーは正社員、派遣、アルバイト総勢で二十人。そのほとんどが女性だ。  男は彩人ともう一人、正社員の隅田という男がいるが、彼は今、中国の工場に出張中だった。  ラスト一枚の指示書を打ち込んだあと、彩人はスマホで時間を確認した。午後二時半。もうすぐ新商品の企画会議が始まる。  彩人は指示書に自分の印鑑を押してからファイリングした。そのあと、パソコンでパワーポイントを開き、会議に使う資料を人数分プリントアウトした。それを案件ごとにホッチキスで留めて、一人分ずつ纏めて縦横交互に重ねていく。 「高松さん、三時からの会議の資料、用意できました」     
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