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「んまあ。あのときのおまえの顔。すっげーしあわせそうだったもんなあ。しっかし出前かあ。ここらの近所で出前やってた喜三郎は二か月前に閉店しちまったしなあ」
180cm近い異国の人になっているアニキが腕組みしながら「うーん」と困ったように頷いた。
しばらく悩んだ後で、彼は「おっ」と声を上げた。なにかとてつもないことを思いついたらしく、ブルーの目がキラキラと輝いている。星入りのコンタクトレンズのせいではない。
「ちょっと待ってろよ!」
そう言って、アニキは割烹着姿のまま部屋を飛び出していった。
「え! ちょっと! 出前でいいんだけど!」
俺の叫び声は勢いよく閉められた扉の音に虚しくなるほど思いっきり、遮られることになった。
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