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梨花は、まだ目を覚まさない。
けれど、梨花の花びらは充分に緩んで甘い蜜を湛えている。
そう、梨花の体は確かに感じているのだ。
更に僕は花びらの上に顔を出している蕾を一つ舐め上げた。
梨花の体がピクリと震える。
梨花の中から湧き出る蜜が増えた。
僕はその蜜を啜り上げる。
啜りながら蕾にも舌を絡める。
啜り上げるクチュクチュと言う音と、舌が絡みつくクチクチと言う音が、耳から僕を犯していく。
自らの行為で興奮していく僕を、遠くから冷めた目で見ている僕がいる。
その僕が頭の中でささやく。
『ほら、こんなに美しい梨花が今、目の前にいるんだ。お前が手折って貪り尽くしてしまえ』
『美しい梨花をお前が汚してしまって良いのか?このままの梨花を愛でてやるのが、お前の美学だろう?』
どちらの声にも頷けない僕は、ただの臆病者だ。
けれど、目の前に無防備な姿を晒して、僕を誘惑する梨花がどうしようもなく美しいのは間違いない。
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