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その朝起きると地球は謎の宇宙艦隊からの総攻撃を受けていた。
そんな馬鹿な、と思うだろうが、そんな馬鹿なことを朝のワイドショー『小島恭平のモーニングワイワイ』で俺の推しの女子アナ・淡野ゆゆ――本名淡野祐実が真面目な顔してアナウンスしている。
「あれ…?親父まだ会社行ってないのか?もう七時半だぜ?リストラされるぞ?」
オヤジとお袋、そして大学の研究室勤務の兄貴がリビングでそろいもそろって突っ立ったままテレビを見ていた。しかも三人とも腰に手を当てている。なんか変なもの食ったのかな――。
「不味いな…」
「そうね…」
「連絡は?」
「いや、まだ無いがそのうち…。だとしてもここを動くのは…」
「規模は?」
「北半球の大都市はほぼ全部…」
「動くのは一斉に?」
「そうなるわね…」
「効果を考えれば、な…」
「いや…ねえみんな何言ってんの?」
「なんだ、零士いたのか…」
「いたのか、じゃないだろ!なにを訳の分かんないこと話してんだよ!リストラされたら家のローンどうすんだ?俺だって一応大学行きたいしさ!オヤジにはまだ頑張ってもらわないとだろ!脳みそぶっ壊れるのはその後にしてよ!一斉に動くとか…夜逃げの相談かよ!」
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