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「そうだ…これが現実なんだ…。お前はただ一人この星に生まれた奇跡の子だ。何にも能力を持っていないという…」
「嬉しくねえ奇跡…」
「だがそのせいで希少種として世界的な保護を受けて守られている…」
「受験しなくてもいいのか…?」
「それは別の話だ…」
「ちぇ…」
「わかるか?お前だけが特殊な力を持たず、この格好にもなれない者として生まれたんだ…」
「後者は結構いいかも…」
「ばか!零ちゃんのバカ!」
マニアが見たらそれなりに反応しそうな格好のお袋が泣いて言った。
「そうだぞ零士…。こうなれないという事は、自分の身を護れないという事を意味している…。となれば、誰かに守ってもらうしかない…」
「…今とそんなに変わらんような気も…」
「宇宙からの攻撃なんだぞ!受験戦争と一緒にするな!真面目に考えろ!」
「…」
銀色のコスプレイヤーに言われたくはない。
その時室内に聞きなれないブザー音が響き、テレビ画面に『文京区・今竹郁男戦士への指示』とテロップが浮かんだ。今竹郁男はオヤジの名だ。
『文京区上空の敵戦艦撃退に当たれ』とあった。
「来た…連絡だ。さあ、お母さん、達也…出撃だ…」
オヤジは悲痛な表情でお袋と兄貴に言った。
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