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たばこより一回りくらい大きい、青っぽい紙で包装された箱を、
そっとバッグに忍ばせる。
見られて困るわけじゃないのに、なんとなくこっそりと。
帰りは山手線内回り。
潰されないように、バッグごとわきに抱え込んだ。
その小さな箱を守るように、人込みに背を向けた。
窓の外は、もうとっくに真っ暗で、
ビルの明かりとネオンとが、次々と目に飛び込んでくる。
見慣れた景色だ。
この辺はデートでよく来る。
新宿・渋谷は、遊ぶ場所に事欠かないから。
でも、明日は特別だった。
いつものこの辺りではなく、お台場に行く予定である。
だって、彼の誕生日だから。
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