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その音に、厄神はハッと我に返る。
リューイチを押しのけるようにして前に出た。
「オレが行く」
リューイチは眉をひそめる。
「いっただろう。おまえではみみこにかなわない」
「かなわなくてもいい!」
怒鳴るように告げた厄神の言葉に、リューイチも杏蜜もハッとする。
厄神はそんな杏蜜を切なげに見つめて、
「杏蜜と共にいられないなら、オレの存在なんていらねぇんだ」
「そんな!」
リューイチも、
「まて!」
手を伸ばすが、その手をすり抜けてジルバーメッシュは飛び出した。
みみこに向かって。
そしてみみこの口に、
――ズボッ!――
自分の拳を突っ込むと、
「もっもっもっもっもっ」
みみこの咀嚼と一緒に、その姿が飲み込まれる。
まるでかき消したようにいなくなった。
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