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「……あの、これ……」
親切な通行人が、風で飛んだお札を拾ってくれた。
「あ、ありがとう」
杏蜜が受け取ると、ニコリと笑ってくれる。
可愛い女子高生だ。
と、
「おいてくぞー莉里」
かかった声にハッと顔をあげる。
そこには、
「シルバーメッシュ」
厄神、シルバーメッシュとそっくりの男の子が、手を振りながら女の子を呼んでいる。
「――あのっ」
思わず声をかけようとした杏蜜だったが、
「サバイバルコースは、早く出ないと遭難するぞー」
剣呑な男の子のセリフについ躊躇している間に、
「待ってくださいよー」
女の子も後を追いかけて行ってしまった。
可愛らしいカップルの背中を見送りながら、杏蜜は、さっきの彼がシルバーメッシュの神さまの、今世での別の人生であることを、心の中でそっと祈る。
『今度はどうぞお幸せに……』
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