第四章

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「……あの、これ……」 親切な通行人が、風で飛んだお札を拾ってくれた。 「あ、ありがとう」 杏蜜が受け取ると、ニコリと笑ってくれる。 可愛い女子高生だ。 と、 「おいてくぞー莉里」 かかった声にハッと顔をあげる。 そこには、 「シルバーメッシュ」 厄神、シルバーメッシュとそっくりの男の子が、手を振りながら女の子を呼んでいる。 「――あのっ」 思わず声をかけようとした杏蜜だったが、 「サバイバルコースは、早く出ないと遭難するぞー」 剣呑な男の子のセリフについ躊躇している間に、 「待ってくださいよー」 女の子も後を追いかけて行ってしまった。 可愛らしいカップルの背中を見送りながら、杏蜜は、さっきの彼がシルバーメッシュの神さまの、今世での別の人生であることを、心の中でそっと祈る。 『今度はどうぞお幸せに……』
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