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「どうか美しい人…
私と今宵、マスカレードを…」
「愛しい貴方…
未だマスカレードの鐘は終わりを告げていません…
今は時の流れるまま踊りましょう…」
女性と男性が踊り出す。
ぴったりと身体をくっつけて。
マスカレードというのは、こういうダンスらしい。
周りの人は、うっとりとダンスを見ているが私はなんだか恥ずかしい。
ああ、でもこんなスチルもゲーム中にあった。
私の大好きなキャラ。
彼と…
「…エル、振り向かないで聞いて」
肩に置かれたしなやかな指先、中指に金のリングがあり
長い白く透き通る髪が私の頬を掠める。
夢じゃない。
「…学園に行っては駄目だ…。
行けば…君は………殺されてしまう…
……これは…回避できないルートなんだ…」
バッと私は振り返る。
肩に置かれたはずの手はなく、そこには劇を見る人々の姿しかない。
冷や汗が顎を伝う。
真昼間から幽霊でも見た様な嫌な感じが止まらない。
怖い。
怖くて堪らない。
サリー「お嬢様?どうしたのですか?」
サリーの手を握っていたのすら、忘れてしまうほど強烈な恐怖だった。
けど、確かに囁いたのは誰?
私が殺される?
なんで、どうして。
そんなルートがある事まで知っているの?
彼は…
私が会いたくて堪らない、あの人に似ている気がした。
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