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屋敷に帰る馬車の中、ついさっきの不思議な出来事を考えてぼーっとしてしまう。
気がつくと、サリーがまた心配そうな顔をしている。
サリー「エレノア様、やはりまだ体調が優れないのでは…」
エレノア「サリーは本当に心配性ねえ…!
大丈夫よ!
ほら、倒れた時もたんこぶ1つ出来なかった頑丈な頭をしているんだから!」
サリー「いえ、それはお嬢様が倒れた時にリチャード様が頭を打たない様にと手で支えてくれていたからですよ。
あんなワガママ皇子でも女性に対する所作は一応身につけていらっしゃいますので。」
サリーさん、さり気無く毒を吐かないでほしい…。
エレノア「私が倒れた前後の事、サリーは知っているの?」
サリー「…私が覚えている限りではお嬢様とリチャード様は言い合いをしていらっしゃいました。
お嬢様はひどく怒っていらっしゃるリチャード様に手をあげようとしていたところ、そのまま倒れてしまわれて…」
エレノアの激怒っぷりが半端ない…。
とんだ、じゃじゃ馬姫だ…。
これじゃあ、リチャード様が怒るのも無理はないわね。
エレノア「私、お詫びの手紙を書いた方がいいかしら…」
サリーは私を見ると、ゆっくり眺めた。
エレノア「どうしたの?」
サリー「…いえ、いつものお嬢様なら決して自分から謝るなどなさいませんでした。」
エレノア「そうね。エレノアはそういう子よね。
でも、悪い事を言えば自分も相手も少なからず傷つく物でしょう?
…嫌な気持ちのまま毎日を過ごしたくない、これは私のワガママみたいなものだから。
だから、もう一度。リチャード様に今までの事を謝らなくちゃね。」
サリーの表情は変わらなかったが、どこか優しい気がした。
サリー「…そうですね…」
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