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馬車が屋敷の近くに来るとエレノアの住む屋敷の扉近くに
既に二台の馬車が止まっていた。
御者「これはいけませんな…」
エレノア「どうしたの?」
御者のつぶやきに場所窓から身体を前のめりにして様子を伺う。
御者「奥様と旦那様を乗せた馬車が帰ってきてるようです。
もう一つの馬車は、お客人の様ですが…私は見たことがない馬車です。」
とんだ、ハプニングキター…( ´Д`)
いや、でもいつかは通る道だとは薄々気づいてはいたのだけど…まさか今日だなんて…!
サリー「予定よりお帰りが早かった様ですね。
どうされますか?お嬢様。」
エレノア「どどど、どうもこうもないわよ…
ももも、もちろん会いますとも…」
私はぎこちない足取りで馬車を降りる。
エレノアの母、つまりはカルティエ家のボス猿的存在とのご対面だ。
ゲームのサブキャラとして話に絡んでくる彼女はどうも悪い女で、全てを自分の思い通りにしようと
ヒロイン暗殺を目論んだり、悪い噂を立たせたりと実に執拗で悪質な事ばかりをしていた。
一方、カルティエ家の本筋で長男の父親は
王室の相談役として君臨する優しく甘いマスクを浮かべながらもボス猿とは不仲であった。
「おかえり、エリィ」
エレノア「うわっ!!」
庭先からひょっこりと顔を出すのは、エレノアの父親のレイナルド・カルティエだ。
にこにこと柔らかな笑顔の見た目は感じのいいおじさんみたいな面である。
故にエレノアは彼が普段何を考えているのかわからず、あまり歩み寄ろうとはしなかった。
エレノア「ただいま、お父様。
ええっと、お父様もおかえりなさい?なのよね。
お母様とのご旅行は楽しかった?」
レイナルドは、まじまじと私を見るとゆっくり首を傾げた。
レイナルド「え?ああ…そうだね、とても実りのある旅行だったよ。
しかし…エレノアが倒れたと屋敷の使いから聞いて急いで帰ってきたのだけど…気にしすぎたみたいだね。
…主治医には診てもらったのかい?」
エレノア「ええ、勿論なんともなかったわ」
レイナルド「…そうか。それは良かった…本当に…」
ふと、レイナルドと目が合う。
エレノアは知っていたのだろうか。
ちゃんと娘の心配をする父親の柔らかな優しい顔。
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