第1話 悪役令嬢はフラグを回避したい。

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エレノア「これはリチャード様にお返しします。 私よりも相応しい方に贈るべき品だと思います。」 リチャードはそれを右手で攫う様に取ると、ジッと私の顔を見た。 望んだ婚約解消ができて彼は喜ぶのかと感じたが、まるで苛立っている様だ。 最後は別れの挨拶。 私は寝巻き裾を僅かに掴んでお辞儀をし… リチャード「……なしだ」 エレノア「はい?」 私は聞き取れず、気の抜けた返事をしてしまった。 リチャード「二度言わせるな。婚約解消はなしだ!」 背を向け出て行ってしまうリチャード様の背中を、ポカンと見つめてしまう。 ユーステス「…ははっ あの、お詫びとか…また、後日手配しますので…今日のところは失礼します。」 ユーステスがリチャードの後を追う。 サリー「…何なんですかね、あの人は。」 サリーの静かな怒りが伝わってくる。 エレノア「私、今すっごく甘いお茶が飲みたいわ」 サリー「奇遇ですね、私もです。お嬢様」 どっと疲れた。 結局婚約解消じゃなくなったってことなのかなあ?
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