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エレノア「これはリチャード様にお返しします。
私よりも相応しい方に贈るべき品だと思います。」
リチャードはそれを右手で攫う様に取ると、ジッと私の顔を見た。
望んだ婚約解消ができて彼は喜ぶのかと感じたが、まるで苛立っている様だ。
最後は別れの挨拶。
私は寝巻き裾を僅かに掴んでお辞儀をし…
リチャード「……なしだ」
エレノア「はい?」
私は聞き取れず、気の抜けた返事をしてしまった。
リチャード「二度言わせるな。婚約解消はなしだ!」
背を向け出て行ってしまうリチャード様の背中を、ポカンと見つめてしまう。
ユーステス「…ははっ
あの、お詫びとか…また、後日手配しますので…今日のところは失礼します。」
ユーステスがリチャードの後を追う。
サリー「…何なんですかね、あの人は。」
サリーの静かな怒りが伝わってくる。
エレノア「私、今すっごく甘いお茶が飲みたいわ」
サリー「奇遇ですね、私もです。お嬢様」
どっと疲れた。
結局婚約解消じゃなくなったってことなのかなあ?
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