107人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから5日が過ぎた。
エレノア「ふぬぬぬ…」
サリー「……お嬢様、床と仲良くするのはおやめくださいと何度も申し上げていますよね?」
エレノア「あ、おはよう、サリー。
これはヨガよ。死体のポーズなんだから。」
サリー「あああ…御髪が乱れて…」
エレノア「こうも長いお風呂も毎日大変だし
切ってしまえばいいと思うんだけど」
サリー「…(絶句)」
私は床から立ち上がりエレノアが所有している引き出しを開ける。
とはいえ、この大きさじゃクローゼットに近いわね。
中には髪留めだけでも数百、ネックレス、イヤリングとかなりの数のアクセサリーが綺麗に並べられている。
確かエレノアの母はこの世界では3つの指に入る店の宝石商をしている家系なのよね。
私は今までOLをしていたが、こんなに艶やかな品は目が眩むほど見たことがない。
この世界では髪が肩より長いのは女性と、あのお方だけなのよね。
私はクローゼットを閉めると、小さく息を吐く。
【シークレットキャラ】
ある一定の条件を満たすと攻略が可能となるキャラのことだ。
ゲームの中では確かエレノアとリチャードは婚約していて
ヒロインと知り合うのは二人が通う学校が初めてのはずだ。
まあ、でもこのヒロインにリチャードが一目惚れしてしまい
一周目はリチャード様を攻略したのよね。
エレノアからの略奪愛という形。
エレノアはヒロインにした嫌がらせや悪質な暴言が学内で弾弓されてたような。
けれど、周回プレイというのがここで通じる可能性はかなり低い。
周回プレイというのは攻略キャラを攻略した後に次のキャラに行くような物だけど、
私の中にあるエレノアの感情は確かな物だし、先日のようにリチャードからの婚約破棄というのは存在しないルートであったりと、要は予測不可能な事もある。
あれ?よく考えて見ればあのまま婚約破棄されたら、今旅行中のエレノア両親が帰ってきて、エレノアは勘当されるルートだったのか!
エレノア「危ないわね……」
サリー「エレノア様?」
エレノア「ううん、何でもないの」
今、無一文で追い出される訳にはいかない。
エレノア自身が一人になっても大丈夫なようにスキルを磨かなくてはならない。
とはいえ、このエレノアはお嬢様中のお嬢様なのよね。
最初のコメントを投稿しよう!