第1章

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──── ────── ─────── 「ありがとうございます」と、土下座しながら謝る、神様を名乗る彼。 咄嗟に「顔を上げてください」と、私。 この彼の話しを聞いてみると、気づいたら、何故かこの街に来ていた………らしい。 と、真剣な眼差しで私を見つめ、そう言う彼の話しを私は嘘を付いているとは思えなかった。 (本当なのかも知れない) 「あの、ひとつ聞いてもいいですか?」 「どうぞ」 「あの、あなたは本当に神様ですか?」 と言うと、この神様を名乗る男は、 「そうですけど」とあっさりと認める。 「神様って何か出来るですか?」 「えっ?………特に何も出来ない」 「何も…………出来ない?」 「……………はい、何もないですよ」 お互いに小首を傾ける。 しばらく、私達の間を生暖かい風が吹き抜ける。
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