第1章

15/16
前へ
/16ページ
次へ
私は頬を赤くしながらも疑問が残る。 そう、何故、神様の姿がはっきりと私は見えるのか。 私は不思議に思い、神様に問う。 「うーん、何でだろね。僕も分からないなぁ。だって、見えないもん。普通」 神様は首を傾げ、眉間にシワを寄せ、しばらく考え込んでいた。 「ごめん、分からん。」と小さなため息をつき、私に言った。 確かに私も何故、見えるのかが本当に分からない。 別に、小さい時から何かしらの不思議なモノを見たり、特別な体験をしたわけでもない、これまで至って普通に生きてきた。 そんな私がいきなり見えるなんて、しかも神様を。 私も首を傾げ、眉間にシワを寄せ、考える。それからしばらくの間、私の足音だけが鳴る。 ─── ──── 私の足音が止まる。実家に着く。 何時振りだろ、実家に帰るのは。 確か、高校を卒業してから来てなかったなぁ。 ──成人式は行かなかった。 何でかって?うーん、今でも分からない。別に『ボッチ』ではないんだ。 それなりに友達もいたし。それにLINEでも何故か頑なに行かないて友達に送ってたっけ。 ─私は玄関先で止まる。実家を見ながら深呼吸する。 「よし、じゃあ、行こうか」と神様に言う。 ────ピンポーン 玄関が開く。 「はーい。えっ、」と驚く母。 「ただいま。帰って来たよごめん急に帰って来………、えっ」 何故か、ニヤニヤしている母。視線は私ではなく、私の後ろを凝視していた。 「あんたもやるわね」 「何が?」 「何が?って、久しぶりに帰って来たと思ったら彼氏連れ来るなんて」 「彼氏?えっ?」 私と神様はお互いに、顔を向き合わせる。 私は神様に訴える。神様は分からないとばかりに手を大きく振る。 「今日は久しぶりに腕を振るか」 母は意気揚々とキッチンに向かう。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加