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舜一は、メッセージの送り主になっている澤地豊雄を調べてみた。
すると、五十年前に実在した殺人犯で、杉川村(現 杉川町)と言う場所で、三十人を殺害した凶悪犯だと解った。本人は、犯行後に自殺している。
さて、単純にメッセージを読むと、三十人の生け贄を捧げると、凶悪犯の澤地豊雄が復活する。そんな内容に思える。
舜一があれこれ考え事をしていると、誰かに声を掛けられた。
見上げると、五十代くらいの男性が、舜一を見下ろしている。
「この度はご愁傷さま」
舜一は立ち上がって頭を下げる。この場合、何と返すべきか解らない。
「舜一くんだろ? 俺は五十嵐亮太。マサさんの昔馴染みだ」
亮太は、成政の友人らしい印象の人だった。
よく日焼けした感じは、日焼けマシーンでは出せない自然さで、雰囲気もサラリーマンではない。
不思議な物で、同じ喪服を着ていても、空気が違う人は存在する。
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