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「ゲームのキャラが人を襲うなんて話、伯父は信じるかな? 現実的な人だから……」
舜一が言葉を濁すと、勇治は図星を突いてくる。
「違うね。本当は、自分が殺人犯だとバレるのが怖いんだろ!」
舜一は、やましい部分を指摘され、声が上擦った。
「な、な、な、何だよ、それ」
「二人とも落ち着いて」
綾香は、修羅場と化した友情を目にして、止めに入る。だが、とばっちりを受けた。
「もういい、死ぬ前に綾香とセックスがしたい。今すぐに」
勇治の自暴自棄な要求に、綾香は黙り込む。
まぁ、「ハイどうぞ」とはいかないだろう。
「解った、伯父さんに連絡する」
舜一は妥協案を出すが、勇治は精神が崩壊してしまったのか? ヒステリックに叫んだ。
「間に合う訳ねぇだろ! もう遅いんだよ! 化け物に襲われる位なら、自分から死んでやる!」
それは、あっと言う間の出来事だった。
勇治は窓を開け、飛び降りた。
舜一は、慌てて窓から身を乗り出す。
友人の体は、自転車置き場の屋根を突き破り、動かなくなった。屋根の梁が彼の体に突き刺さり、手足が有り得ない方向を向き、皮膚を突き破って骨が白く露出していた。友人だった物は壊れた玩具のようにも見えたが、流出する血液が、落下したのが人形ではなく人間だと証明していた。
正視に耐えない事故現場を見て、綾香はサイレンの様な悲鳴を上げ、気絶した。
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