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その頃、泰宗は津上屋の近くでとある人物と落ち合っていた。
「あなたが将軍からの遣いですか。お名前は?」
「ももたろうとでも呼んでください。中野泰宗殿の文は拝見させて頂きました。また津上屋からの文も拝見させて頂きました。津上屋は、佐竹広臣殿が謀反を企てたため討ち入りをしたと。中野様は津上屋は私怨により佐竹広臣殿を殺したと。どちらが真実か調査は済んでおります」
泰宗は笑顔を見せて軽く頭を下げる。
「津上屋ではなく私のほうに会いに来てくれたというのは、私に寄ってくれたからでしょう。それともう一つ。広臣様の一人娘雪様と立花雄蔵という浪人の罪を赦していただきたいのです。二人ともこの地には必要な人物なものでして」
「ご心配なさらずに。立花雄蔵という若者には会っております。気持ちの良い者でした」
泰宗は、ふうと息を吐く。
「では、ももたろう殿、津上屋に向かいますか」
雄蔵と雪、泰宗とももたろうが目指すは津上屋。
勝敗はどちらに寄るかまだ先は分からない。
つづく
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