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家臣団は室に集まり雪を囲む。
どのように津上屋を討つかの相談を始める。
「所詮は津上屋は商人、表立って向かっては?」
「それは駄目だ。農民の子達が人質にとられている。先にその子たちを助けなければならない」
「では夜襲は?」
「津上屋の屋敷は街中で夜襲の意味はない」
それぞれの案に雪が丁寧に答える。
隣にいた雄蔵も息を巻くが、それは家臣団も同じであった。
「流石、広臣様の姫だ。軍略にも通じているのか」
そう告げる家臣団を雄蔵はゆっくりと見て、雪に尋ねる。
「ならば雪、雪はどうすればいいと思う?」
雄蔵のその言葉に家臣団から怒号が飛ぶ。
「一介の浪人が雪様を呼び捨てとはどういうことだ!」
だが、雪は意に介さない。
「私は、津上屋の用心棒連中をここに誘い込むのがいい。その時、手薄になった津上屋の屋敷から人質を救い出すのが上策だ」
「よし。それがいい。宗道、泰宗様は?」
室の端にいた宗道に雄蔵は声をかけるが宗道は首を振る。
「散歩に行くと言ってまだ帰っては来ない」
「ふうん」
雄蔵がそう鼻を鳴らしたとき、外からは巨大な音が響く。
雄蔵と宗道が我先に庭に出ると、屋敷の門を浪人たちに打ち破られていた。
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