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「佐竹広臣の娘!首を寄越せ!」
「津上屋だ!」
雪の叫びに家臣団は屋敷に打って出る。
雄蔵は腰の長刀を抜く。
「雪の首はやらねぇが、代わりにお前らを首にしてやるよ」
真っ先に雄蔵は浪人たちの中に切り込む。
それに宗道も続き、家臣団も続く。
雪には見守ることしか出来ないが、奥に下がるつもりはない。
宗道は、雄蔵と共に先頭に立ち、門より浪人たちを立ち入らせない。
その姿を見て雄蔵はにやりと笑う。
「やはり宗道、強いな」
「当たり前だ!雄蔵には負けるが雪様を守りたい気持ちに代わりはない!」
浪人たちは門の外へ押しやられると家臣団は屋敷の外に溢れ出て、浪人たちを斬り伏せていく。
その様子を見て雄蔵は、屋敷の中へと戻っていく。
目指すは雪の場所。
雄蔵の視線がちらりと屋根に向かう。
「やはり!」
雄蔵に懐から短刀を取り出して、屋根に向かって放つ。
喉を貫かれた忍の骸が落ちてくる。
「雄蔵!」
雪は雄蔵の姿を見て近寄っていく。
雄蔵には屋根から忍が雪を背後から狙っているのが分かった。
雄蔵も雪に向かって走り、雪の側にいくなり雪の身体を小脇に抱き抱えて、そのまま数人いる忍に向かう。
飛んでくる手裏剣を長刀の柄で弾きながら、忍の元へ寄り長刀を横に一閃する。
忍の身体は真っ二つに切れた。
雪を小脇に抱えたまま雄蔵は残る忍に長刀を向ける。
「役者が違う。死にたくなかったら去るんだな」
残る忍たちは顔を見合せてから屋根へと飛んで去っていく。
「雪、大丈夫か?」
雄蔵は雪を地面に下ろすが、雪は雄蔵の袖を掴む。
「雄蔵!今だ!今、津上屋に行けば大旦那を打ち取れる!」
「雪……。しかし!」
「行くんだ雄蔵!私も行く!雄蔵にしか出来ない!」
必死の雪に雄蔵は頷き再び雪を小脇に抱えて、雄蔵は屋根に向かって跳び跳ねた。
そのまま屋根づたいに走る。
目指すは津上屋。
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