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「ねえ、なんでくっついてくるの。」
「ん?冷たくて気持ちいから。」
そう言ってふにゃふにゃ笑う。
今彼は私に抱きついてずっと手を握っている。
「手とか特に。ひんやりしてる。」
昔から低体温で冷え性。目つきも悪く心も冷たいと避けられていた。
小学生の頃の渾名は氷の女。
対して彼は手も暖かく雰囲気も柔らかい。
まるで太陽みたいな人。
そんな2人なのにいつの間にか恋人、という関係になっていた。
「はいはい、どうせ平熱35度ですよ。」
少し熱っぽいと思ったら36度だったなんて日常茶飯事。
「えー、そんな拗ねなくていいのに…。」
ずっと握られ続け彼の手の温度が私の手に移っていく。
それに少しドキドキするなんて本当に冷たくなっても言ってやらない。
「うるさい子供体温、拗ねてない。」
「!!子供体温っていうのはちょっと気にしているんだから!」
「嘘だよ。でもこんなことしてたら手が冷たくなっちゃう。」
その言葉で彼の顔は嬉しそうに緩んだ。
「やっぱり優しいね。」
「手が冷たい人は心があったかいんだよ。」
太陽みたいな笑顔のままでそう呟く。
これは彼の口癖だ。
私はどこをどう見てそう言っているかはわからないが。
「だから僕はそんな君が好きなんだ。」
でもこのぬくもりに
もう少しだけ寄り添っていたい。
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