第2話 「新鮮な日常」

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そして、今に至る。 今は彼の部屋で読書中だ。 彼から借りた小説を読んでいる。 彼は小説が好きで主にサスペンスやホラー、刑事もの、青春系まで色々ある。 私は絶賛シリーズ化している刑事ものをお気に入りの場所で読んでる。 お気に入りの場所は彼のベットの上、壁にもたれ掛かる所。 理由としては、彼が床に座り込んでベットに寄り掛かかるから。それによって彼の様子を視界に入れることが出来るからだ。 彼がいると認識するとすごく落ち着く。よく無言の時間が耐えられないと耳にするが、少なくとも私は彼とのこの静かな空間がたまらなく好きだ。 まるで時が止まったような、空気が澄んでいくような感覚を覚える。 部屋はただ紙をめくる音が聞こえる。 不意に沈黙が破れた。 犬「明日はある奴に会う。おま……宮原も来てくれないか?」 彼はまた言いかけた。 …まぁ、最初よりはマシになった方かな? 最初は「お前」とすら言われなかった。顎や指差し、「おい」のどれかだった。 「お前」と呼ばれるようになったら、思い切って名前で呼ぶように言った。彼は無理だと言い渋ったが、何とか苗字で妥協出来た。 まぁ、まだまだ慣れてないみたいだけど。
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