第1話 「出会い」

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「あれ??もう逃げられないね?」 「こうなるのを期待してたんでしょ?」 「俺らと楽しもう?気持ち良くするからさ」 黒髪で短く、制服を着た女の子が3人組の男に行き止まりまで追い詰められている。恐らく高校生だろう。顔付きは消えてしまいそうな儚さのある美人で落ち着きがありそうだが、額に汗を浮かべる程、今はその落ち着きが失われている。 …ツイてない。 いつもの癖に足を取られてしまった。今まで大丈夫だったのに… 嫌な事があると人気のない暗い場所へ行くのが癖だ。まるで、自分という存在が消えたかのような感覚が好きで、落ち着くからだ。 今日も母親の別の男がすでに家に来ていて、いやらしい目を向けてきた。あの感覚は何度味わおうとも慣れない。 離婚の理由が私が出来たから。その理由で産まれた時から「産むんじゃなかった」と嫌われていたが、一度再婚相手に襲われ掛けてから、母はより私に対して憎しみを抱いた。それ以来、母や男が家にいる時は外に出るようにしている。 この状況はかなりまずい。3人組で話しかけられ、腕を掴まれた。咄嗟に手を払い、逃げたのだが、行き止まりまで追い詰められてしまった。 ここは暗い裏路地。周りにあるのはいつまでも工事中のアパートと廃棄された工場だけだ。夜に好んで来るような物好きな人間はいないだろう。助けを呼んだところで誰も聞こえない。それよりも叫んで、こいつらを喜ばせるのは気分が悪い。 男たちは反応を楽しむかのように、ジリジリと近づいてくる。 「ハァ…」 思わず溜め息が出てしまう。正直、生きていて良かったと思った瞬間が一度もない。もし、神様が目の前に現れたら、迷わず殺すだろう。自分という存在を生まれさせた存在に憎しみの念しか感じないのだから。 このままこいつらに身体を穢されるなら…
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