第2話 「新鮮な日常」

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あの後、私は彼…犬井 孝(イヌイ タカシ)についていった。 彼は怪訝な顔をして「怖くないのか?」と聞いてきた。不思議と全然怖くなかったが、その言葉を聞いて思わず笑いそうになった。とてもあのようなことをした人のセリフとは思えなかった。 あの3人も連れて廃墟になったマンションへ行った。 3時間ぐらい拷問していた。具体的には手足の指の肉と爪の間に爪楊枝を刺したり、剥がしたり、虫を食べさせたりと色々だ。3人共すごい叫び声と赦しの言葉を請う。 だけど、彼の手は止まらない。無表情のまま。 その行動を見ても別段恐怖を感じなかった。やられてる相手が相手だからとか、彼が心配そうにチラチラ見てくるからとか、自分が壊れているからとか、理由は自分でもよく分からない。 最後に彼らの血を舐め、「…まずい」と一言言い、生きたまま背中と太もも、二の腕の部分の皮を剥いで肉を切り取り、袋に入れる。 トドメを刺さずにその場を去ろうとする。一応生きてはいるが、どちらにしてもそのままだと、彼ら3人は出血多量でゆっくりとじわじわ死ぬだろう。 その背中に私は慌てて声を掛ける。 「助けてくれて有難う御座います。」 彼はすごく驚いた顔をして、振り向く。 犬「……驚いた。こんなのを見せられてなお、お礼を言うとは…」 意を決して言葉を繋ぐ。
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