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「わがままな事は承知の上なんだけど…ひとつお願いがあります。」
犬「………??」
次に続く言葉を待っている。
緊張のためか、少し口の中が乾く。
「……私の名前は宮原 凛(ミヤハラ リン)と言います。………私を貴方の側に置かせて頂けないでしょうか?」
犬「…えっ??」
明らかに動揺や困惑が見られた。が、10数秒したら元の無表情に戻った。
犬「……何を言っているのか分かっているのか?こんなイカれたクズと居ても百害あって一利無しだぞ?」
宮「貴方はイカれているかもしれませんが、私の目から見るとクズじゃありません。
何故だか自分でも分かりませんが、貴方なら信用できると感じました。ご迷惑かもしれませんが、どうかお願いします。」
犬「……助けて貰ったからか?なら、それは勘違いだ。目的はそこの3人であって、あんたを助ける為じゃない。かと言って正義の為とかではない。ただ気に入らない人間が悠々と笑って生きているのが我慢ならないからだ。つまりは俺の為だ。たまたま結果、あんたが助かったに過ぎない。勘違いしてはいけねぇ。」
宮「例えそうでも構いません。助かった事は事実ですから。この命、貴方の為に使いたい。」
こんな気持ちは初めてだ。ここで別れたくないと思っている自分がいる。誰かに対してそんな感情を抱いた事はない。ましてや一緒に居たいだなんて…
犬「……その言葉を使う相手を間違えてる。」
宮「間違えていません。……この場所での話はこの辺で切り上げて、貴方の家に行きましょう。近くにいる為に貴方の家に泊まらせて頂きます。」
犬「えっ?!何を言っているのか分かっているのか?……正気の沙汰じゃないぞ。」
正気じゃない人に言われるのはさすがにちょっとむず痒いな…
宮「なんと言おうと引くつもりは御座いません。」
彼はすごく粘ったが、私も何故か頑固だった。最終的に私は一歩も引かず、遂に彼は折れた。色々な条件付きだったけど、そのどれもが問題ない。
むしろ、助かる条件ばかり。
痛々しい声を後にし、私達はこの場を去った。
こうして私と彼との奇妙な絆が紡がれる。
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