舞い上がり

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 そもそもさくらと依子は同じ高校に通っている。それこそ毎日バスの中で会っているだろうから、簡単に情報交換されるだろうから隠す意味は殆どない。それにまぁ、俺の情報とかいらないだろうが。  俺は話題を変えようととぼけて違う話をしてみた。 「あれ? 今日は帰りが早いんだな」 「今はテスト期間中だから部活は休みなの」  さくらは部活が終わってからバスに乗って帰ってくるからいつも帰りは夜になっている。だからこういう風に帰宅時間が早くならない限り、俺がさくらに会うことはないのである。俺はさくらと話しながら自転車を押して一緒に帰り道を歩いた。 「依子とはなんの話をしてたの?」 「ん?久しぶりだねって話。つか、さくらとも話すのは久しぶりなんだけどな」  俺は笑いながら言ってみせた。とにかく依子の話を早く切り上げたかった。 「あ、そっか。たまに朝とか手を振るからそこまで久しぶりとは思わなかったかも」  恋焦がれている俺とはさすがに感覚が違うんだな。少し悲しく感じた。  急にさくらが声を張った。 「そうだヒロ! 明後日って暇?」  明後日?日曜日だな。 「暇だけど?」 「じゃあさ、一緒に買い物行かない?」 「え?なんで俺なんだよ」  まさかの誘いに思わず面倒そうに答えてしまう俺。本当は嬉しくてたまらない。それって何処の店に行くの? 何時くらいに? それはデートなのか? 俺、気のきいた店とか知らないぞ。     
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