再会

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再会

 いつもと違う日もあった。 今年のゴールデンウィーク前のことだったが、帰宅途中にバスターミナル近くの横断歩道で信号待ちをしている二人の女子高生を見かけた。そのうちの一人はセミロングの髪をハーフアップにして、風が強いせいか少し目を細め瞳を潤ませたていた。  中学時代の同級生、中山依子(なかやまよりこ)だった。  とても人懐っこい性格で中学時代はよく俺に話しかけてきていた。そして当時この子が俺に好意を持っていてくれたことも知っている。なにせ直接何度も好きだと言われていたから、同学年の中でも有名だったかもしれない。  俺が横断歩道の向かい側にいるということは気付いているはずだ。信号が変わりにお互いが横断歩道を渡り、徐々に距離を縮めていった。普通に俺から挨拶すればいいんだが、どうしてもそれが出来ずにそのまますれ違ってしまった。  今回に関しては中山依子から俺に話しかけることはなかった。そりゃそうだ。既に2年以上経っているし、いまさら何かあるなんてことは俺だけが都合のいいように妄想しいるに過ぎない。偶然再会して昔を懐かしんで恋が始まるなんてどれだけの確率だ。そんなことを思っていたが、1ヶ月後に俺は彼女と再会することになり、思わぬ展開に進んで行くことになった。
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