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僕が彼女に出会ったのは高校の入学式の日の放課後だった。
彼女は校門の塀の上に座り、帰る生徒を見ていた。他の生徒は彼女のことを気にもしていないのか、目をくれることもなく通り過ぎていくだけだった。
「ねえ、君はそこで何をしているの?」
「うん?私?何って見て分からない?人間観察、かな。」
彼女はそう答えると、僕に向かって笑いかけた。その笑顔はとても眩しいもので、僕は少し目を細めた。
「ねえ、私を見つけてくれた君。私とさ、友達になろうよ。お互い同じ新入生みたいだしさ。」
彼女のタイの色はよく見ると僕と同じ赤だった。…てっきり、上級生かと思っていたが。
「私は、祐希。諌早祐希!言、東、早く希望を祐けるで諌早祐希よ。あなたは?」
これが僕と彼女、諌早祐希とのファーストコンタクトだった。
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