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一話「春:それから」
諌早祐希、彼女と僕のファーストコンタクトから1週間が経った。
クラス内では早くもいくつかのグループが出来始めていた。…僕はどこにも属していないいわゆる「ぼっち」というやつだ。
いや、正確に言うなら「ぼっち」ではない。何故なら…
「ねえ、今日も家寄ってくでしょ?お母さん、今日は早く帰るみたいだから、お夕飯また食べていきなさいよ。」
こいつが、祐希が執拗に絡んでくるため他の皆から若干、引かれているのである。
周りから見たら、完全に付き合ってるように見えるからな、僕たち。…どうやら向こうはそんなのお構い無しのようだが。
「…祐希。頼むから学校で、クラスのど真ん中でそういうお誘いをするのは精神衛生上だったり世間体的に辛いから止めてくれないかな?」
「私は気にしないわよ?貴方と付き合ってるかと聞かれても『全然?ただの友達よ』って言ってるし。」
…僕が気にするんだよ!
「それでどうするの?来る?来ない?」
「…行くよ。」
僕はしぶしぶ、そう答えた。こう答えないといけなかった。
「分かった!それじゃあ、放課後に校門前でね!」
彼女はそう言い残して、教室を出て行った。
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