雌竜と雄竜

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雄竜は、シケレペを飲まなければ死んでしまうほど、すでに弱っていた。どうにかしなくてはいけない、このままでは数時間で、死んでしまう。 雌竜は外へ出てシケレペをとってくる決断をした。 雌竜は白狐に雄竜の見張りを頼み、大きな翼を広げ空へ飛び、現地に向かった。 時間がない。 シケレペはこの地では実らないため、1,400km先にあるすごく、遠く、寒い山地にある。 雌竜は急いで飛ばした。もうそんなに寿命が無いことは分かっていた。だから急いだ。 雌竜は山地に着くと、サッと幾つものシケレペを成るべく多く採取し、手でつかみ、森に帰った。もう気づけば、2日もたっていた。その日の夜。雌竜は森に降り戻った。すると、あたりは暗闇に覆われていた。 雌竜は不気味におもった。すごく怖いと雌竜は感じた。 聖地である、森には竜が居ることでいつまでも金色の灯りが灯火(ともしぶ)場所。そこに、動物たち、昆虫が立ち寄り、植物や木々が育つ。あたりをよく見回すと、植物は枯れ、動物や昆虫は見当たらない。 あの白狐はどこだろ? と、雌竜は奥に進む。 雌竜は中心まで行くにつれてイヤな予感がした。 雌竜は中心の前に着く。 すると、中心部の真ん中で雄竜は横たわり夜の月に静かに身体を照され、静かに息を引き取っていた。 その近くに白狐がいる。白狐は首を横にふり、泣いて、森を出ていった。 雌竜は、悲しみを爆発するかのように、雄竜の手前で泣いた。泣きじゃくった。悲しみという名の痛みが胸を突き刺す。間に合わなかった。 雄竜は死んだ。 雌竜は唸り声を上げた。 すると、突然、大雨と大地震が森を襲った。 大地震で雌竜と雄竜の周り、大地にひびがはいり楕円形の形に、深く割れた。そして、中心部の奥では崖が崩れ、雨で滝になっている。7箇所、滝ができたようだ。 雌竜はそれでも、泣いている。もうなにもかも失ったかのように。 雌竜がいる割れた楕円形の大地には雨がたまりつつある。雌竜は激しい雨に叩きつけられながら、一人で雄竜を想い、泣いて、叫んで、吠えて、唸り声をあげていた。 その姿はとても幻想的だった。
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