386人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも意欲的だ。人体は時に医学の範疇を超える。彼もこのまま意欲的に取り組んでいけば、劇的な回復もあるのかもしれない。
「ふぅ……」
肩に手を置いて回し、机から立ちブランデーを注ぐ。今日の仕事はここまで。あと一時間もすれば就寝時間だ。
その時、コンコンという控えめなノックがあった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
ひょこっと、寝間着に上着をひっかけたチェスターが顔を出す。スルリと中に入った彼は空いているソファーに腰を下ろした。
なんだか、久しぶりだ。帰ってきた日にこうして部屋で会って、離れていた時の話しを少ししてからは忙しく動いていた。チェスターも忙しいのを察してか、夜に会いにくることが少なかった。
「飲みますか?」
「あぁ、少しだけ」
グラスに三分の一程度ブランデーを注いで、彼の前に出す。それをちびりと飲んだチェスターは途端に「濃い!」と呻いている。
「先生、よくこんなに濃いの飲めるね」
「慣れですし、普段からこのくらいの量を守って飲んでいますから」
深酒はしないが、ほんの少し飲みたくなる。だから毎日少しだけ。外で飲む事はあまりしない。
チェスターのグラスに水を注ぎ足せばようやく飲めるようになって、彼もチビチビ飲み出した。
「先生、疲れてる?」
最初のコメントを投稿しよう!