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伺う目をしたチェスターが心配そうにしている。それを見ながら、ほんの少し言いたい事もあった。
「そうですね」
「休めてる?」
「まぁ、いつも通りには」
だからこそ気を使って訪ねてこないというのは、寂しい。ずっと離れていて、ようやく帰ってきたのに疲労を理由にまだ何もしていない。
けれどこれを口にするのは、少し恥ずかしい。淫乱だと思われるのは嫌で、表情にも出ないから伝えようがない。本当は疲れている時こそしたいとか、寂しい思いを埋めてほしいとか、色々あるのだけれど。
「あの、就寝時間になったら行くから」
「行ってしまうのですか?」
「え?」
思わず悶々とした気持ちが口をついた。しくじったとは思ったが、見つめたチェスターは顔を赤くしている。年下の恋人は今もわんこで純情だ。
「チェスター、こっちへ」
手招きすると疑問そうにしながらもチェスターは腰を上げ、隣りにきた。
リカルドはその腕を引いて、半ば強引に口づけた。
間近で見る驚いた瞳が、舌を絡ませるとトロリと蕩ける。固まっていた手は次にしっかりと体を支えるように整えて、リカルドとのキスを楽しんでいる。
「先生、どうしたの?」
色っぽく潤ませた瞳のまま、こんな事を聞いてくる奴を多少恨む。どうしたのもなにも、こんなに分かりやすい感情の表現があるだろうか。
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