待ち合わせはカフェで

7/9
384人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
「どうしようかな……どっちかと言えば、スケッチに行きたいかも」  遠乗りを兼ねて、秋の景色をちょっとだけ。気軽に描けるのは嬉しいものだ。 「それもいいな。暫くは何事もないだろう」 「それを願うばかりだよな」 「まったくだ」  溜息を一つ、次には苦笑。そうしてふと、色々仕事の事も思いだした。 「そう言えば、体調崩した奴も多いって話しだけれど」 「それの報告だったんだ。軽い体調不良はあれこれだが、数人は少し重そうだ。長期遠征後で、急に気温が下がったからな」 「なるほど、それだったんだ」  ハリーも少し怠そうにしていた。熱はないと言っていたけれど、これからは分からないだろう。 「遠征後ということもあって、隊員の定期検診を急遽早めようという日程調整だったんだ」 「おつかれ」 「お前は大丈夫か?」  温かな手が頬に触れる。意外と冷えていたのか、手の温もりが心地よかった。 「俺は大丈夫、今の所はね」 「気を付けろよ」 「お互い様に」  そんな事を言い合いつつ、エリオットおすすめという店へと足を向けていく。本当に、のんびりとした午後の時間だ。  エリオット一押しのクッキーの店は、本当にどれも美味しく小さくて食べやすいものだった。シナモンに、ナッツ、シンプルなプレーンの他にジャムをサンドしたもの。     
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!