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「チェスター、私は貴方が欲しいのです。明日が仕事でも、多少疲れていても。触れて欲しいし、キスもして欲しい。なんならその先も欲しいと思います。これは間違いですか?」
「いえ、間違いじゃないです!」
「では、この要求は叶えてもらえるのですか?」
問いかけると、途端にチェスターは真っ赤になった。
これだから、疑わない。浮気とか、心変わりとか。彼は本当に真っ直ぐに、こんなひねくれ者を愛してくれる。
「貴方は、触れたくはないのですか?」
「触れ、たい。キスも……忙しそうで、休んで欲しいから、しなかっただけ。キスしたら、その……欲しくなるし」
頬を赤くした可愛いわんこがそんな事を言う。そして恐る恐る触れて、躊躇いながらも優しいキスが落ちてきた。
「先生……」
「したいなら、先生をやめなさい。名前で呼んで、チェスター」
「リカルド」
「おいで」
腕を伸ばすとそのまま落ちてくる愛しい恋人の体温に、疲れは自然と消える気がした。
触れる指先がもどかしいくらいに優しくて、ちょっとくすぐったい。触れる唇は柔らかく触れて、背に僅かな快楽が走る。
こんな交わりだったかと、思い起こしても思い出せない。それくらい、物理的な距離と時間が経っている。
「リカルド、辛くない?」
「もっと強くていいくらいです。チェスター、私は元気ですよ」
「本当?」
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