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「長男は一番安産でね、それでも私は落ち着かなくて右往左往していたものさ。今の君のように」
「そういうものですか?」
「そうだね、そういうものだよ。次男のハムレットは、逆に十日以上早く出てきてしまって、しかも体も弱くてね。そのせいで今度は奥様の方が気に病んでしまった。だから三人目を生むかどうか、当時はとても悩んだものだ」
三番目、ランバートはそんな状態で生まれたのか。確かにすぐ上の兄が虚弱であったなら、親としては次が怖いのかもしれない。
「ランバートが一番の難産でね。ハムレットが小さかった分、あの子は大きくてなかなか出てこなかった。奥様の出血も多くて、最悪も覚悟してくれと言われた時にはガラにもなく神に祈り倒したものだよ」
「そんなに! でも、そういうことも……」
出産は死と隣り合わせだと聞いたことがある。医学の進歩で徐々にそんな事はなくなってきたが、それでも絶対ではないのだ。
急に怖くなったが、それを察したジョシュアが笑う。平気だと言わんばかりに。
「心配してもどうしようもない。男の私達には今、やれる事はないんだ。それに女性は強いものだよ。うちの奥様なんて怖いくらいだからね」
「でも」
「アネットも強い女性だ。そして、生まれた子を養っていくのが男の役目というものだよ」
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