不安ごと抱きしめて

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★ファウスト  夢の浅い時、ランバートが呼んでいる気がして目が覚めた。だいぶ早い時間で気も引けたが、胸の不安は消えてくれない。嫌な予感がして部屋を訪ねたらこれだ。  医務室には当直医のリカルドがいて、すぐに処置用のベッドに寝かせ点滴を打った。それでも、ランバートの熱は下がっているのか分からない。 「一番の重病ですね。隊の風邪も落ち着いてきたころに」 「すまない」 「貴方が担ぎ込まなければ余計に症状は重篤だったでしょう。脈は落ち着きましたね。熱はまだ高い。以前のカルテを見ても、彼は熱が上がりやすい体質のようです」  以前騎士団で倒れた時の情報を読んでいたリカルドが触れる。そして、困ったように眉を寄せた。 「熱が思うように下がりませんね。扁桃腺の腫れも酷いし、喉が真っ赤です。声が出なかったのはこれですね」 「どうしたらいいか……」 「暫く入院させます。その方が貴方も安心でしょう。日中は貴方も仕事がありますから」 「そうしてくれ」  出来るだけ早く仕事を片付け、時々様子を見に来よう。  本当なら起きるまで側にいたかったが、ランバートの意識はなかなか戻らないまま。結局リカルドに任せて仕事に行く事になった。     
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