不安ごと抱きしめて

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「詳しくは分かりませんが、おそらく夢を見たんだと思います。起きてすぐあのようなパニック状態になり、立ち上がろうとしていて」 「熱は?」 「解熱剤を飲ませてようやくです。ただ一時的な対処療法なので、喉の腫れが引かないと発熱も落ち着かないでしょう。それに睡眠を十分に取れないと回復も難しくなりますので」  あんなに暴れてパニックになるほど、どんな怖い夢を見ているのだろう。あんな子供のような泣き顔を初めて見て、胸が締め付けられる。よほど、苦しいのだろう。 「ファウスト様、側にいることは可能ですか?」 「え?」 「どうやら貴方を探しているようです。貴方が側にいれば落ち着いてくるのではと思います」 「シウス達に話しをしてくる。移してくれるか?」 「分かりました」  テキパキと動くリカルドに感謝しつつ、ファウストはすぐにシウス達に部屋での仕事に切り替える事を伝えた。  夕刻、ランバートが小さく身じろいだのを感じて側にいった。寝苦しそうな様子で喘ぐ姿が痛々しくて、心に刺さる。 「ランバート」  声をかけ、強く体を揺すると涙の浮いた目で見上げてくる。ぼんやりと。 「ランバート、ここにいる。だから大丈夫だ」     
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