【おまけ1】借りてきた猫(チェルル)

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【おまけ1】借りてきた猫(チェルル)

 ハムレットの怪我が安定して、二人はヒッテルスバッハの家に暫くいる事になった。  別荘地へ戻っても仕事復帰はまだできないし、怪我も完璧なわけじゃない。生活面でも無理はできないし、回復するまでは王都でとなった。  移動する日、一応車椅子で移動するハムレットの車を押したチェルルは緊張していた。  アレクシスは歓迎すると言ってくれた。ランバートからもそんな感じがする。他の家族も歓迎すると言ってくれた。  けれど、不安が消えたわけじゃない。ヒッテルスバッハなんて大きな家に、孤児だった自分が足を踏み入れるのだ。かなり勇気がいる。 「猫くん」 「え?」  少し遠くで声が聞こえて視線を向けると、ハムレットが苦笑している。そしてとても穏やかな声でチェルルに伝えた。 「緊張してるね」 「それは……」 「出来るだけ早く別宅に戻ろうね」 「でも、怪我もあるんだから無理しちゃだめだよ」  怪我は深かった。今も退院は出来たけれど無理に動く事はいけないと言われている。ハムレットが一番分かっているとエリオットは言っていたけれど、この人はたまに無理をするから。  それでもハムレットは申し訳なさそうな顔をする。     
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