訪問

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 インターネットや不動産屋で住む場所を探していると、あっという間に一週間が経っていた。 「そういえば千代さん、気をつけるって何に?」  舟市は家の縁側で小さな庭を眺めながら電話をしている。相手は祖母だ。 『なんだっけ?』 「ほら、荷造りしてたときに言いかけた、」 『ああ、あれねー。勝手に気づくと思ってたから気にしてなかった。どう?』 「どうって……」  自分も気づくようなことが何かあっただろうか、と舟市はここ一週間のことを思い起こす。色んな部屋を見て回ったり大学からの書類に目を通したりしたほかは、特にこれといって常と変わったことはない。日課の食糧探しもいつも通りだった。 「別に変わったこともないなあ」 『そう? ならいいんだけど、念のため言っておくわね』  お茶をすする音がする。すぐ喉が渇いて嫌ねえと挟んで、 『ほらもう色んな所で市の名前が変わったことが広がっているでしょ。守岐の名前の効果が薄れつつあるから、これから色んなものが寄ってくるようになる』 「何それ」 『あんた小学校のときとかに調べ学習してなかった? 自分たちの住んでいるところについて調べましょうって。一生懸命に画用紙に書いたの見せてくれて――』     
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