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レクイムはそれを見下した態度と認識し「弁解するどころかさらに見下すか。貴女の態度はよくわかりました」と立ち上がる。
「……最後まで読む。それぐらいしましょうね」
カルネが静かに呟いた。
レクイムはその物言いにカッとなり「白紙のどこに読むところが!」と紙を持ち上げ、そこに黒い文字が大きく書かれているのに気づいた。
レクイムはその文字を見ると、訝し気に眉を寄せ「これがどうした?」とカルネを睨みつけた。
「それ、ご存知ですよね?」
「ハッ、知ってるも何も誰もが知る有名な――」
「それ、園長の名前なんです」
「――――は?」
レクイムが素っ頓狂な声を上げ、もう一度紙を食い入るように見た。
他の二人はこの会話についていけず、顔を見合わせ首を傾げ合った。
「……園長は、リアリド……では?」
レクイムがそう言うと、カルネは「ええ」と頷いた。
「よく見たら、わかりますよね? そこに私がその文字を書いた意味が」
カルネの笑みが妖艶なものとなる。
美しく、だが危険な香りを匂わせる笑み。
レクイムは紙を見、カルネを見る。
それを何度も何度も繰り返し、ハッと表情が強張った。
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