新人の仕事

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……というのは表向きに王の尊厳を保つための建前であり。 実際は全てごり押しで進めようとする王に対し、<アンファン>の権限全てを握る園長リアリドが止めたからだ。 「確かに<アンファン>のような施設を必要としている人は何百……いえ、数えきれないほどいるでしょう。そして今回の噂で今の<アンファン>では受け入れきれない数の子持ちの冒険者がこの国に訪れてくることも知っています。……ですが。そうだからといって無理に施設を大きくしたり、碌に考えもせず職員を増やしたり、来る子どもをひたすら受け入れたとしましょう。そんな施設が成り立つと思いますか? ……ほぉ、寄付を増やす、金は大丈夫、と。施設に対するお金は大丈夫でも人員に対するお金は大丈夫でしょうか? ふむ、子どもを受け入れた分お金が入ると。その分職員も増えるのにですか。……給料が多少低くなってしまうのは仕方ない、と。そうですかそうですか……では、給料を下げたくないので隣国にでもお引越ししましょうかねぇ、今いる職員達は大事にしたいもんでねぇ」 リアリドのこの脅しともいえるにこやかな笑顔での圧により、王が渋々折れたというのが真相である。 これは一部の者しか知らない話であり、決して公にはされていない。 公にしない変わりに、とりあえず増える子どもに対しての対策として、普通の保育園の育成を園長が好きにしてよいという許可を得たのだ。
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